これだけ読めばわかる、
なるほどオフィスデザイン。
2024.5.30更新 ※この記事は5分で読めます
オフィス内装・デザインとレイアウト計画の重要性
オフィスづくりをする際、オフィス内装・デザインはその企業によって求めるものはさまざまです。近年、「オフィス移転やオフィスレイアウト変更の理由」として上位を占めるのは「事業の成長や拡大、従業員の増員でオフィスが手狭になったこと」があげられます。そして、移転や変更後のメリットとして①生産性の向上、②企業のイメージアップとブランディング、③オフィス維持の経費削減などがあげられます。中でも、「オフィス内装・デザインとレイアウトをどのようにするのか」は大変重要なポイントとなります。理想のオフィスづくりを成功させるにはまず、求めるオフィスの要素や機能・イメージ・譲れないこだわりポイントをしっかり整理して社内で共有しコンセプトとしてまとめましょう。
【生産性向上を目指した設計とその影響】
ストレスと生産性は大きな関連性があるとされており、ワーカーがリラックスして生産性を高めるためには、オフィス内装・デザインとレイアウト設計は非常に重要です。例えば、周りの音が気になり業務に集中出来なかった経験は無いだろうか。オフィスにミーティングブースがあれば、周りの音環境を気にすること無く業務に集中出来る。また、会議室も来客専用会議室を設けることでブッキングを無くし、機会損失を防ぐことが出来る。
参照元:日本アイ・ビー・エム保険健康組合
【コミュニケーションの促進と従業員満足度】
オフィスにおけるカフェスペースやリフレッシュスペースの設置は、仕事でやり取りのない他部署間のコミュニケーションの促進を促します。部所間のコミュニケーションの促進は「業務をスムーズに進められる」他、従業員同士の偶発的な出会いにより、新たな仕事へのアイデアが浮ぶなど、仕事への積極的な関わりが増え、結果的にコミュニケーションの促進とワーカーの満足度・モチベーションアップへ繋がります。
【ウェルネスと働きやすさ】
近年、企業がウェルネス(肉体的・精神的・社会的に満たされていること)経営に注目しているのは、社員の健康づくりを企業の存続と成長のための投資と考え、従業員が働きやすい環境を整えたり、また、健康の維持・増進に努めるウェルネス経営でワーカーの離職率を防ぎ、企業として発展し続けるための戦略的な取り組みの1つです。
【プライバシーと集中のバランス】
集中ブースや色・パーテーションの設置により空間を仕切ることは、従業員が業務により働く場所を選べるため、生産性の向上に有効的です。特にオープンオフィスを導入する企業が増える中、個人によっては集中しにくい場合もありオフィスデザイン設計においてプライバシーと集中のバランスが大変重要となる。
オフィス内装・デザインの種類と現代トレンド
【オフィスの内装デザイン3種】
⚫︎オープンオフィスレイアウトとは▶︎チームのコミュニケーションを活発にしチームワークを高めるとされる一方で、業務に集中しにくいという問題点がある。
⚫︎クローズドオフィスレイアウトとは▶︎チーム単位など少人数で個室を使うタイプのオフィスのことをいい、機密性が保たれる・チーム単位でのプライバシーが保たれるなどのメリットがある一方でチーム間のコミュニケーションが不足する、スペースの柔軟な活用が出来ないなどのデメリットもある。
⚫︎ハイブリッドワーク型レイアウトとは▶︎全従業員が出社する場合に比べてオフィスのスペースにゆとりが生まれる為、そのスペースを休憩スペースや集中ブースとすることで従業員がより働きやすい環境を整えられる。また、不要になったスペースの縮小はコストの削減につながる。
【フレキシブルワークスペースとコラボレーションスペース】
- ビジネスの目標や変化に合わせて簡単に配置を変えたり、チームの規模が拡大・縮小に合わせてスケールアップ、スケールダウン出来ます。こうした柔軟性のあるオフィスはチームが必要な場所・時間・方法で作業する自由を与える。
【サスティナブルなオフィスデザイン】
- サステナブルオフィスとは、地球環境への影響を最小限に抑えながら、従業員の生産性を高めるワークスペースいい、テクノロジーや革新的なアイデアを駆使してエネルギー使用量を削減し、さらには廃棄物を最小限に抑え、そこで働く従業員にサステナブルな行動を促すオフィスのこといいます。
【オフィスのサスティナブルな取組み例】
- )ペーパーレス化、プリンターへの依存を減らす不必要な印刷を制限する。
- )退社前にすべての電子機器の電源を切る。
- )作業中のモニターやノートパソコンの輝度(70%程度に下げる)を下げる
- )白熱電球からLEDに交換する
- )センサーライト(人感センサー)を導入する
- )最適なエアコンの設定温度を見つける
オフィスレイアウト計画のステップガイド
【寸法計画の基礎】
オフィスレイアウトを検討する際、家具と家具、もしくは家具と壁の間の通路幅の確保がオフィスの快適性に関わる非常に重要な要素です。以下に示す基準を踏まえてオフィスレイアウトを検討しましょう。
- )メインとなる通路 :1600mm
- )デスクとデスクの間 :900mm
- )座席と壁の間(座席後ろが動線ではない場合):900mm
- )座席と壁の間(座席後ろがメイン動線の場合): 1600mm
- )座席と座席の間 :1600mm
- )収納庫と座席の間 :1500mm
※フィジカルディスタンスの確保が必要な場合は、人と人との距離が2000mmとなるようにします。
【家具と装飾・照明と色彩の選定】
◾️カラーコーディネート
おしゃれでかっこいいデザインにするために、カラーコーディネートが重要です。まずはオフィスのコンセプトを決めることがおすすめです。オフィスのイメージはシック・モダン・カジュアルなど企業によって異なるため、空間に合うコンセプトを意識してください。特に色は心理的効果が高く、業務内容によって使い分けたり、ゾーニングに利用したりするのも良いでしょう。企業のロゴに合わせてコンセプトカラーを決定するのも1つの方法です。
◾️配色の比率
空間の色彩計画を立てる上で参考となるのが、配色における定理です。アートやデザインの世界に人が最も美しいと感じる黄金比があるように、空間の色彩計画においても、全体で見たときにバランス良く感じられる比率があります。
- )ベースカラー:70%程度(主に壁・天井・床など)
- )メインカラー:25%程度(家具・床など)
- )アクセントカラー:5%程度(小物など)
オフィスにおいては、執務やミーティング、休憩など、各スペースの用途・目的に応じて選び方を変える必要がありますが、このバランスを参考にすることで、それぞれの空間のパフォーマンスを高め、印象良く見せることにつながります。
◾️ベースカラーの選び方
オフィス空間のベースカラーには、空間の中で最も広い面積を占める床・壁・天井などが該当します。
床・壁・天井といった内装は、賃貸物件などでは特に気軽に変更のできない部分です。そのため、執務や学習などで長時間過ごす空間では、自然に見えて飽きのこない無難な色を選ぶことが推奨されます。
中小規模のオフィスなどで天井があまり高くなく、また採光も限られるような場合には、天井や壁に明度の高い色を使うことで空間に広がりを感じさせ、実際より広くみせるといった効果を得ることができます。
反対に、天井や壁の上部に明度の低い色を使えば、落ち着いた印象や秘密基地のようなムードを出すこともでき、集中力を高めたい場合などには効果が望めます。
◾️メインカラーの選び方
オフィス空間を印象付けるインテリアのメインカラーは、デスクやテーブル、チェアやソファといった家具、あるいは床・壁の一部などで取り入れるのが一般的です。
オフィスにおいては、規模次第でもありますが、メインカラーにコーポレートカラーを適用して全体に統一感を出す、あるいはスペースの目的ごとに色の心理効果を考慮しながらメインカラーを決めるという方法があります。
◾️アクセントカラーの選び方
インテリアにメリハリをつけるアクセントカラーは、空間全体における差し色になります。後から追加できるインテリア小物や照明器具、クッション等のファブリックで取り入れるのが一般的です。
小さな面積で使うアクセントカラーは、強調色で基本的には彩度が高めの色、ベースカラーと対照的な色で目を引くようにします。
ベースカラーに主張しない色を選んだ場合には、このアクセントカラーでぼんやりした印象を引き締めることができます。この”引き締め”が、空間全体をセンス良く見せるためにも重要なポイントとなります。
インテリアの色彩計画は、その空間の用途・目的に応じた心理的な快適性を高めるための大切なプロセスです。
色の持つ心理作用を生かしたい場合にも、全体の調和がとれていなければ期待する効果が得られません。逆に、秩序ある適切な配色は、空間に新たな価値を生み出すことにもつながりますので狙った効果が得られるようにしっかりと色彩計画を立てましょう。
【動線の計画】
動線計画とは、人が動く経路を設計することです。動線計画で大切なことは、明確な狙いをもって設計することです。例えば、業務効率を重視し「多くの社員が利用するコピーコーナーは、みんながアクセスしやすい場所に設置する」といったことが挙げられます。
また昨今では、健康経営の観点から、身体の不調の原因のひとつと考えられる「座り過ぎ」の問題に対応するため、あえてオフィス内の回遊を促す動線設計をするまた、マグネットスペース(マグネットスペースとは、磁石に引き寄せられるように「自然と人が集まる場所」を指します)設け、コミュニケーションの活性化する仕掛けを動線計画に取り入れたりします。
小規模オフィスのレイアウトのコツ
【オフィス面積のスペース占有率】
小規模オフィスづくり成功のコツは、限られたオフィス面積全体の中でのバランスを考え、パーテーションなど全体的に圧迫感が出ないようにプランニングすることが重要です。スペース別の占有率は下記を参考にしましょう。
- )執務スペース 54%
- )個室・情報管理・業務支援スペース32%
- )生活支援スペース5%
- )通路スペース7%
- )その他2%(デットスペースなど)
【確認項目】
- )オフィスの平米数
- )社員数・組織体制
- )各部署の業務内容
- )収納の必要容量
- )ネット・電話回線の数
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成功するオフィスづくりのアイデアとポイント
◾️照明器具の種類と光源の分布
◾️オフィスの照明計画
オフィスレイアウトで照明器具の選定を行う際は、決められた照度が確保されているかを確認するために「照度計算」を行う必要があります。また、使用する照明器具と電球の色味(電球色、昼白色、昼光色)により、空間の印象に違いが現れます。演出したいオフィス空間に合わせて選定すると良いでしょう。
- 750lx:事務室・役員室・玄関ホール
- 500lx:会議室・制御室
- 300lx:受付・化粧室・エレベーターホール
※lx(ルクス)とは照度を測る単位
参照元:JIS(日本工業規格)が定める「照明基準総則」
【会議室の照明計画】
会議室エリアは、参加者の顔がはっきり見えて、資料を読む際にも支障がない明るさを選ぶ必要があります。使用するシーン(通常会議・プレゼンテーション会議・セミナーなど)によっては、それぞれ適切な照明器具の配置や明るさが異なるため、使用用途に合わせて照明を考えましょう。ベースライトだけでなく、スポットライトやフロアースタンドなど複数のタイプの照明を組み合わせることにより、使用するシーンに応じて明るさを調整することがでるタスク・アンビエント照明が良いでしょう。
【執務室の照明計画】
社員の多くが1日の大半を過ごす場所のため、目にストレスがかからない昼白色や昼光色の照明が適しています。窓からの採光、デスクの配置など自社のワークスペースを分析し、環境に合った照明を選択しましょう。日中は明るく、終業時間に近づくにつれて徐々に暗くなる調整機能を持った自動照明も人気を集めています。
【リラックススペースの照明計画】
オフィス内にリフレッシュスペースを設ける場合は、リラックスできる柔らかい電球色の光を用いて落ち着きのある空間づくりをしましょう。仕事の気分転換に使用する社員が多いため、執務スペースとは異なる照明設計で空間の雰囲気に変化を持たせると効果的です。
◾️オフィスインテリアのポイント
【オフィスグリーンのメリット】
オフィスグリーンをオフィスデザインに取り込む企業が増えています。植物をオフィス空間に取り入れるだけで、開放的な空間を演出することができる上、ワーカーの精神の安定を示す脳波「アルファ波」を増やすと言われています。アルファ波の増幅によって、心拍数の安定や筋肉の緊張を緩和させる事も分かっており、結果的にストレスの軽減に繋がります。また、植物には空気中の有害物質を吸着・分解するなど、空気環境の快適性を向上させる働きがあり、それらの相乗効果で生産性を向上させ、質の良い仕事に繋がります。また、植物の緑色には目の疲れを和らげる働きもあり、長時間のデスクワーク合間で植物を眺める事で疲れ目が改善されることもわかっています。葉からは水分が蒸散するため、室内の乾燥を防ぎ、ドライアイの対策にも良いでしょう。その他、エトランスをオフィスグリーンで彩り企業のイメージアップに繋げ、優秀な人材獲得の対策となります。
【参考】観葉植物の生活環境に対する影響評価 : 環境デザインのための基礎的研究
【参考】観葉植物を見ることがVDT作業に伴う視覚疲労に及ぼす影響
【オフィスグリーンのデメリット】
オフィスグリーンの導入にはデメリットもあります。リアルな観葉植物は多くのメリットがある一方で水やりや、植物の成長に伴う管理が発生します。しかし、フェイクグリーンやプリザードフラワーなどで代用しても同様の効果があるとされ、見た目にはフェイクとわからないような精巧なフェイクグリーンを導入する企業が多いようです。その他、ワーカーの手間の削減からグリーンをリースにする方法がありますがその場合は、導入費用の他にランニングコストもかかってきてしまいます。しかし、ワーカーへのメリットを考えればそれは必要経費といえるでしょう。
◾️オフィス家具選び方のポイント
【エルゴノミクス(人間工学)とは】
◾️人間工学とは▶︎人間工学は、働きやすい職場や生活しやすい環境を実現し、安全で使いやすい道具や機械を作ることに役立つ実践的な科学技術です。これからの超高齢化社会や多様性を認め合っていく社会のなかで、人間工学はより一層生活に根付き、さらなる発展を遂げていくものと考えられています。
参考URL:平成20年度包装機械のユニバーサルデザインの調査研究報告書
【人間工学に基づいた椅子を使うメリット】
人間工学に基づいてデザインされた椅子には、下記のようなメリットがあります。
- )腰にかかる負担を軽減できる
- )調節機能が充実している
- )業務効率や生産性を向上させてくれる
- )耐久性および安全性に優れている
◾️多目的利用エリアの収納
オフィス内が乱雑な状態では居心地の良い空間とは言えません。
多くの人が働くオフィスで整理された状態を保つためには、整理整頓しやすい工夫をすることが大切です。
【シンプルなルールにする】
- )オフィスにおける整理整頓の課題で一番多く挙げられるのは「書類整理」に関する悩み。
整理された状態を保つためには、運用ルールが必要ですが、そのルールが複雑なものだとなかなか定着せず形骸化してしまう可能性があります。 - )例えば、書類に関する対策であれば、「1年使用していない書類は廃棄もしくは電子化する」「使用中の書類はファイルボックスに入れて管理し、月1回見直しの機会を設ける」など簡単なルールにすることが継続するためには大切です。
◾️その他、すぐ出来るオフィス改善のアイデア
- )温度や湿度を適切に保つ
- )照明を適切に配置する
- )音環境を改善させる
- )アートやグリーンを活用する
- )BGMを取り入れる
- )香りを取り入れる
- )オフィス家具を適切なものに取り替える
- )コミュニケーションスペースを充実させる
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