2024.5.30更新 ※この記事は5分で読めます。
** この記事のポイント **
オフィス床デザインの重要性と影響
オフィスの床材・種類と選択の注意点
オフィスのゾーニングと美観のバランス
オフィス床のおすすめデザイン5選!
その他の注意点とは
オフィス床デザインの重要性と影響
オフィス空間においてオフィスフロアーの床は、空間面積の多くを占めるため慎重なデザイン設計が必要となります。一般的には床から天井に向かって空間の色合いは「濃い・暗い」色合いから「薄く・明るく」なっていくのが良いとされています。デザインにより一概にはいえませんが、床は基本的に汚れやすい特徴もあり、また、OAフロアや滑りにくい素材を選択するなど機能的かつ安全への配慮も重要なポイントとなります。
この記事では、失敗しないオフィスフロアー設計のための注意点をまとめました。次の3点を基準に考えましょう。
【基本となるポイント】
1)オフィスのイメージカラー
オフィスエントランスの床材は来社されたお客様の第一印象と、企業のブランドイメージを強化する場所となります。例えば、白色は「クリアで誠実」、青色は「信頼」、赤色は「パワーや躍動」など。その他、コーポレートカラーを取り入れてお客様に企業を印象づけることも効果的でしょう。
2)オフィス床の機能性
オフィスの床はしっかりとしたルールを決めなければ煩雑になりやすい場所です。「私物は床に置かない」「カタログやコピー用紙などの備品は所定の場所納める」等、予めここはどんなスペースなのかをしっかりとゾーニングする必要あります。その他、OAフロアーの導入によりレイアウトの変更が簡易的になる上、床上のコンセントをスッキリさせ、見た目も美しく、コンセントでの躓き防止にもなります。
3)メンテナンスとコスト
自社ビルではないオフィスの場合、事業の成長により拡大・縮小が発生します。契約内容にもよりますが、基本的にオフィスの退去時には原状回復するのが一般的ですので回復することを想定し、耐久性やメンテナンスも加味した上でデザイン設計を立てましょう。
オフィス床材・種類と選択の注意点
床の色を変更するだけで、オフィス空間全体の印象は大きく変わります。色は心身へ影響をおよぼすといわれており、寒色系にすると落ち着きのある空間となり、暖色系を取り入れると明るく活発な雰囲気となります。また、明度が高いと軽やかな印象に、低いと重厚感のあるイメージです。色によりさまざまなイメージを持つため、上手く色彩計画立てれば「ワーカーの生産性を向上させる」ともいわれています。色彩計画を立てる際には、まず、全体のイメージカラーを決め、そして、イメージカラーをベースにさまざまな要素を構築することでオフィス空間全体に統一感が生まれます。
参考:カラーセラピーライフ「色彩心理学(色の効果と心身への影響)」
【デザイン要素とカラーテーマの選定】
◾️寒色▶︎青緑、青、 青紫などの冷たさを感じさせる色
◾️ 暖色▶︎赤、 だいだい、 黄などのように暖かさを感じさせる色
◾️中性色▶︎冷たさや暖かさを感じさせ ない黄緑、緑、紫、 無彩色
色 | 与えるイメージ | 効果的な場所 |
緑 | 森林、リラックス、新鮮 | リラックススペースや食堂など |
青 | 冷静さ、涼しさ、集中 | 執務室や集中スペースなど |
黄色 | 幸福、気軽さ、明るさ、ポジティブ | 会議室、制作職などが利用する執務室 |
ブラウン | 落ち着き、安定、堅実さ | 事務職が利用する執務室、食堂など |
ブラック | 重厚感、スタイリッシュ、威圧感 | 社長室や応接室など |
【素材と機能性の重視点】
<床材の種類>
タイルカーペット、ビニルカーペット仕上げ
◾️タイルカーペット▶︎1辺およそ40~50㎝四方のパネル型をしたカーペットです。
オフィス・事務所用のタイルカーペットでは接着剤を用いて直接床に貼り付けられ、取り外しも容易な仕様となっており、一部分だけ交換できるというメリットがあります。オフィスの形状や配線に沿って細かく形を調整できるため、多くのオフィス・事務所で採用されています。
また、静電や防汚機能、耐久性に優れているのも特徴です。
◾️ビニルカーペット▶︎ポリ塩化ビニル素材のタイルやシートもオフィス・事務所によく用いられます。
耐久性やクッション性に優れており、製品によっては耐薬性や耐電性能を有しているものもあります。
また、木目調のフローリング柄や模様が美しいストーン柄など、デザインやカラーも豊富です。
※ 執務室や会議室を中心に広いエリアに向いている素材
自然素材・フローリング・大理石仕上げ
◾️大理石▶︎光沢感と模様が特徴的な大理石は、他の床素材に比べても高級感に秀でています。
◾️フローリング▶︎高級感という面では大理石に劣るものの、清潔感と温かみを感じさせます。これら床素材は天然素材特有の細かな凹凸を持っており、小さなほこりやちょっとした汚れが目立ちにくいのが特徴です。
一方で、この細かな凹凸にほこりや汚れが蓄積されていくと、シミや黒ずみへと変化し、簡単には落とせなくなってしまいます。そのため、清潔な状態を保つためにも、日ごろの掃除が重要な床素材と言えるでしょう。
天然素材をそのまま使う場合や、合板に天然素材を貼り付けることがあります。木の温もりや大理石の重厚感がある一方で費用が高めになりやすいというデメリットもあります。
※ 企業の顔となるエントランスに向いている素材
OAフロアー仕上げ
◾️OAフロア▶︎通常の床の上に配線を通す空間を設け、二重床としたフロアです。配線を床下に隠せるため「配線に足を引っかけて転ぶ」「配線が抜けてデータが破損する」といった事故を未然に防止できます。
配線が見えないのですっきりした見た目となり、床の掃除やデスクの移動などが容易になるのもメリットです。
一般的な床材よりコストは上がりますが、配線の多いオフィス環境であれば、検討する意味はあるでしょう。
※ レイアウト変更が効率化する
【床材別・メンテナンス方法一覧】
床の種類 | メンテナンス方法 |
❶タイルカーペット | ブラシ付き掃除 |
油汚れ等は中性洗剤で拭く | |
シミはカーペット用洗剤で拭く | |
❷ビニルタイプ | 掃除機をかける |
雑巾で水拭きする | |
汚れのひどい場合は床用洗剤で拭く | |
❸天然素材タイプ | 掃除機をかける |
モップや雑巾で水拭きする | |
フローリング用のワックスをかける |
オフィスのゾーニングと美観のバランス
【ワーカーの生産性と快適性の向上】
執務スペース、来客スペース、会議スペース、通路や休憩スペースなど、場所によって使われる目的が異なります。用途に合わせて床材の色や種類を変える目的に応じた選び方は、これまで紹介したゾーニング・配色・掃除のしやすさによる選び方の要素を内包できる方法です。空間のコンセプトや目的に合ったゾーニング・配色・掃除のしやすさを意識すると、より快適な空間を演出できます。
⚫︎リフレッシュスペース
心身を休ませ、リフレッシュできる休憩スペースでは、目にやさしいアースカラーがおすすめです。
例えば、木々をイメージさせるグリーンや、土をイメージさせるブラウンなどが挙げられます。赤などの刺激が強い色はリラックスできないため、休憩スペースでは避けるのがベターです。
⚫︎執務スペース
PC業務などの作業を行う執務スペースでは、集中力や冷静な判断力が高まるブルー系が良いでしょう。
グレー系の色も照明の光を吸収する効果があるため、作業をしている人の集中力を高めてくれます。目を使う仕事が多いところでは、目に優しいアースカラーも有効です。
⚫︎ミーティングスペース
ミーティングスペースは、意見交換やアイデア出しが行われる空間です。活発にアイデアが出るようにオレンジなどのビビッド系の色を選ぶと良いでしょう。ビビッドカラーは、交感神経を刺激し、活動的にさせる効果があるといわれています。
⚫︎応接室
来客対応を行う応接室は、会社のイメージを左右する場所であるといっても過言ではありません。
清潔感や高級感が演出できるよう、シンプルなホワイトやスタイリッシュな黒系の色が適しています。応接室は奇抜な色やデザインのものより、シンプルで上品なものが好まれる傾向にあります。
オフィス床のおすすめデザイン5選!
1)執務スペースを床素材で緩やかに区切ったオフィス
2)ミーティングスペースは落ち着いた配色の床で集中力を高める
3)光沢のある床材は見た目も美しく、汚れにくい
4)フローリングの床は音が響きにくく、温かみがある
5)来客スペースの床は高級感のある絨毯で演出
その他の注意点とは
【原状回復のしやすさ】
原状回復とは、賃貸物件を退去する際に入居前の状態に戻しておくことで、賃貸オフィスには基本的に原状回復義務があります。将来的にオフィスを移転する可能性がある場合、原状回復のしやすさを考慮して床材を選ぶと、原状回復工事の手間やコストを削減できます。ビニルタイプや天然素材は接着剤を使用するため、取り外しの簡単なタイルカーペットに比べ、取り外しが難しく原状回復には手間がかかります。
【選ぶ床は現物を確認する】
床材を選ぶ際は、できるだけ現物を確認するようにしましょう。
インターネット環境でカタログを見る場合、パソコンやスマートフォンの画面によっては現物と色合いの異なる可能性があります。また、表面の質感や施工方法やメンテナンス方法も床材のサンプルを事前に取り寄せ、色柄や質感を実際に確認するなど丁寧にすすめることが成功するコツです。
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